DP化学の授業では、原子の構造について学んでいます。これまで、「電子は決まった軌道を回る」というボーアモデルを学んできましたが、実はこの考え方だけでは説明できないことがたくさんあります。
例えば、電子配置をボーアモデルで考えると、M殻(第3殻)が埋まる前にN殻(第4殻)に電子が入るという不思議な現象が起こります。これがなぜなのか、今回の授業ではより正確な「シュレディンガーの量子力学的原子モデル」を使って解明しました!
ボーアモデルでは説明しきれない電子配置
ボーアモデルでは、電子は「K殻(第1殻)、L殻(第2殻)、M殻(第3殻)、N殻(第4殻)」と順番に埋まると考えます。しかし、実際の電子配置を見ると、M殻(第3殻)が完全に埋まる前に、N殻(第4殻)に電子が入るという現象が起こります。
例えば、カリウム(K)とカルシウム(Ca)の電子配置を見てみましょう。
- K(カリウム):1s² 2s² 2p⁶ 3s² 3p⁶ 4s¹
- Ca(カルシウム):1s² 2s² 2p⁶ 3s² 3p⁶ 4s²
「3d軌道がまだ空いているのに、なぜ電子がN殻(4s軌道)に入るの?」と疑問に思いませんか?ボーアモデルでは、これをうまく説明できません。
量子力学的原子モデルでスッキリ!
そこで登場するのが、シュレディンガーの量子力学的原子モデルです。このモデルでは、電子は「特定の軌道を回る」のではなく、「電子雲(electron cloud)」という確率の高い領域に存在すると考えます。
ボーアモデル | 量子力学モデル | |
電子の動き | 固定された円軌道を回る | 電子雲(確率的な存在) |
電子配置の決まり方 | 外側の核に移る順番 | エネルギーの低い軌道 から埋まる |
M殻→N殻の電子移動 | 説明が難しい | 4s軌道のエネルギーが 3d軌道より低いため |

電子配置は「エネルギー順」に決まる
量子力学モデルでは、電子は「殻の順番」ではなく、エネルギー準位の低い軌道から順に埋まるというルールに従います。そのため、3d軌道(M殻の一部)が空いていても、エネルギー的に低い4s軌道(N殻の一部)が先に埋まるのです。
・4s軌道は3d軌道よりエネルギーが低い → だから電子が先に入る!
・シュレディンガーの波動方程式によって、このエネルギー順が理論的に導き出される。
この授業を通じて、量子力学が私たちの身近な化学の世界にどれほど影響を与えているのかを実感しました。今後、化学結合やスペクトル分析など、さらに発展的な学習に進んでいく予定です。
「なぜそうなるの?」と疑問を持つことが、新しい発見の第一歩!これからも探究を続けていきます!
前のページへ戻る