職員室だより

作文コンクール(2年生)

先日は1年生の作文を紹介しました。今回は2年生の最優秀作品と優秀作品を紹介いたします。2年生は4泊5日でピサ、フィレンツェ、ローマへ行きました。フィレンツェでは、有名なボッティチェリやダビンチの作品を現地ガイドの説明を聞きながら見学しました。ローマでは多くの観光名所をまわり、普段の世界史の授業で学習したものを実際に見ることができ、理解が深まったように感じました。

決して倒れることなく、力強く

 人類はかつて数々の、歴史に残る建造物、遺産を残してきた。それらは形が整っていて、綺麗に残っているものが多い。遺産というのは私にとって、そんな印象だった。しかし、目の前にそびえ立つ、高く筒状であるピサの斜塔は、建物全体が力を抜いているかのように、右にしっかり傾いていたのである。それでも倒れることなく、力強くあった。こんなものは見たことがなく、私の常識を大きくくつがえした。

 斜塔の前にある教会の中で行われる、ミサの始まりと終わりの時刻を鳴らすための鐘楼として、1173年から作り始められたピサの斜塔。工事中に地盤沈下が起こり、少しずつ傾き始めてしまったのだという。結局、工事中も傾きを修正することはできず、斜塔として1372年に完成されたのである。

 外観は、本当に傾いていて、見ていると倒れないか心配になってくる程のものだった。私はこの斜塔に足を踏み入れる。中に入る衝撃的なことに、地面が斜めなのであった。当たり前のことだが、当たり前ではない。不思議な感覚に陥った。斜塔の中には、傾いた296段の階段があった。私は必死で登っていく。一歩一歩が、ずっしりと重く、身体もずっと傾いたままだった。普段、“真っ直ぐ”を基盤として生きてきた私にとってこの空間は、一歩歩くだけでもかなり体力が消費されていくものだった。言葉では表せないような不思議な感覚に陥りながら、なんとか頂上に登りつめた。その時、ものすごく達成感を感じられたが、頂上に着いても、足元は傾いたままだった。辺りを見渡すと、草原の美しさとイタリアの歴史を感じられるドゥオモ広場と、斜塔のシンボルである大きな鐘が一つ目に映った。私を含め、何人もの人々がここを訪れてきたと考えると、この斜塔にとても負担がかからないか心配にもなった。しかし、ピサの斜塔は力強く建っている。斜塔から、しっかり建っていなくてはいけない。倒れたりなんて絶対にしない。という強い思いさえ感じられた。傾いていても、まっすぐな、強い心の芯を持って建っているこのピサの斜塔は、私の目にとても焼き付き、創造者達の強い思いも感じられた。

あの絵

 私が小学生のだったある日、賃貸マンションの寂しい壁に、母はお気に入りの絵の複製を飾り始めた。喜ぶ母に対し、私が特に何も思うことはなかったのには、小学生の私には特に感想がなかったからだ。だがしかし、ずっと下ろされなかったその絵は、少しずつ私の心を掴んでき、机に向かっているとき、ご飯を食べているときなどのふとした瞬間、私の視線はその絵に向かっていったのだ。

 それから数年たった今年、私は学校行事としてイタリア旅行にいくことになった。場所はフィレンツェ。あの絵が展示されているウフィッツィ美術館がある町ではないか。胸を踊らせイタリアに向かい、あの絵を観に行く2日目を楽しみに待った。

 そしてその当日、お気に入りのシャツに腕を通し、美術館へ行った。2日間の引率をしてくださったガイドさんが、観ておくとよい部分を詳しくと説明してくださったところで、あの絵、つまりはボッティチェリ作「春」とのご対面となった。その絵を観るまで、期待しつつも、複製であんなに観ていたのだから、感動は半分、と思っていたが、部屋に入った瞬間、予想以上に大きかった。その迫力といったら想像以上である。ガイドさんにつれられその絵に近づくと、これまた予想を超える書き込みの細かさだ。説明によると、人物の下に描かれた草花は50種類を超えるそうだ。その他、この絵にはさまざまな意味があることや、描かれている人物がどのような意味を持っているかなどを本当に細かく教えてくださった。

 私は感動のあまりこの絵の前をしばらく離れられなかった。本物でしかわからない人物の表情や、配色の美しさに心が奪われたからだ。

 美しく、また、印象に残った「あの絵」をもう一度見に行くことができたら、次はどんな視点で見られるのだろうか。

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