英国だより

第81回目-ダラムの街-

ダラムの街Durhamに久しぶりに行きました。そこはイギリスの北東部に位置しており、キングスクロス駅Kings Crossから特急で3時間ほどのところにあります。今回は飛行機でヒースローからニューカッスルNewcastleまで1時間15分の空の旅。そこから電車に乗り継いで行きますが、ニューカッスルの飛行場からタクシーを利用して1時間ほどで到着しました。ここに1990年に開校した帝京大学ダラム校があります。ロンドン学園は1989年に開校しましたので、式典のときには学園の生徒や職員たちと出かけました。大聖堂では、ケント公爵夫妻Duke and Duchess of Kentが参列し、式典が厳粛な雰囲気の中にも華やかさがあり生徒たちと感動しました。それ以来、帝京大学生たちは英語研修のためにやって来て、コレッジの学生たちと交流します。ロンドン学園は高校生だけですので、大学生と特に交流があるわけではありませんが、帝京大学グループ校の大学生たちが休暇中に学園に来て英語研修をします。

ダラム大学は1832年に設立され、イギリスで3番目に古く、2016年の大学ランキングでは5位、世界ランキングでも50位以内に入っている名門大学です。訪問した時には学年末の試験中でしたので、街は静かでしたが試験が終わった法学部の学生たちが、緊張から開放されて大騒ぎをしていました。有名な大学であっても、時代の流れに沿い新しいことに挑戦しなければいけません。今年、新学長が就任するため何か大きな動向があるだろうと言っていました。たとえ英国でも国際化が進み、海外生を10年かけて21%から28%まで増やす方針を打ち出しています。学園もまた、現状に甘んじることなく進化していきたいものです。

ギリシア生まれの小説家であり東京帝国大学で英文学講師をした小泉八雲は、ダーラム大学の16コレッジの1つであるアッシャーコレッジUshaw College( or St.Cuthbert’s College, Ushaw)に通学していました。帝京ダラム校は彼の名前にちなんでラフカデオ・ハーン文化センター(Lafcadio Hearn Cultural Centre)となっています。日本経済新聞4月25日には風呂鞏(ふろ・たかし)さんの記事が掲載され、「作品は自然や異界との「共生」、そして「寛容」の精神を教えてくれるはずだ。ハーンの邦訳のみならず英語の原文にもあたり、文学表現のすばらしさに圧倒された。」と書いてありました。また、5月30日の朝日新聞でも同様に「異文化への寛容の精神や自然との共生がより問われてだけに八雲の精神から学ぶべきことは多いのではないか。」と。波瀾万丈の人生だった彼が終焉の地とした日本です。再度作品を読んでみたい気持ちになりました。

街の歴史は古く、大聖堂と城が1986年に世界遺産に登録されています。城は1066年のヘイスティングの戦いでフラン人の貴族が勝利して、ノルマン人が要塞として建設しました。ウエア川が蛇行しているので、まるで孤島のように見える小高い丘の上に勇壮に立っています。その後は、宮殿となり今では大学学生寮として転用されています。1時間のツアーに参加してみると、文化遺産の中で生活する息遣いを感じることが出来ました。食堂は1296年に作られた場所を再建し、それぞれの時代によって特徴ある建築になっています。900年近い歴史の中で生活していることが、とても羨ましく思いました。大聖堂は1093年に創建され、ノルマン様式の教会としてはヨーロッパでもっとも精巧な建物といわれています。ちょうど生徒たちが合唱の練習をしていました。澄んだ美しい声が室内に響き、美しいステンドグラスとともに心奪われる時間でした。映画「ハリポッタ―」の第1と2作目にこの教会が使われています。この時まさに日本は、白河上皇が院政の道をひらいた平安時代です。10月の研修旅行には、生徒たちと訪問したいと思います