英国だより

第64回目-ラグビー発祥の地で-

世界ラグビー大会がイギリスで開催されています。9月18日に始まり、日本は初戦で優勝候補の南アフリカと対戦して勝利した話は、今だに皆さんにとって記憶に新しいことかもしれません。同日、ロンドンではジャパン祭りがあり、学園の生徒たちはトラファルガー広場で盆踊りと神輿を担ぎました。オープニングの時に森元首相が挨拶をし、そのまま試合会場へ移動されました。また、保健大臣のジェレミー・ハントJeremy Hunt氏も同席していました。この方は日本で英語教師をしたことがあり、ロンドン・オリンピックのときにスポーツ内相でした。日本はその後、スコットランド、サモア、アメリカと対戦しましたが、残念ながら準々決勝に進むことは出来ませんでした。優勝は一体どこの国になるのでしょうか。日本でも今回の試合について、いろいろな方が講評されていました。2019年には日本で世界大会が開催されますので、日本の方々にとっては一層楽しみかもしれません。

先日、ロンドン市長のボリス・ジョンソンBoris Johnson氏が東京と友好関係を締結するために日本を訪問して、子供たちとラグビーをしました。ちょっと真剣になりすぎたのか10歳の男の子を押し倒した写真が10月15日の夕刊 Evening Standardと10月27日のニューズウィーク日本版に載っていました。” Mayor knocks over 10-year-old school boy during game of rugby on his Japanese trip.” 最後には彼が大好きなラグビーにたとえて、後の保守党のリーダとなるチャンスがあれば、挑戦したいという野心を覗かせた記事になっていました。

さて、そのラグビーの始まりは1823年にラグビー校のウイリアム・エリスWilliam Ellisという少年がボールを持って走ったところから始まります。その後、いろいろな規則が出来上がり、世界に広がります。開会式にその話が組み込まれ、在校生たちが前列で合唱しました。この学校は有名なパブリック・スクールPublic School The Nineのひとつで1567年に豪商ローレンス・シェリフLaurence Sheriffが創立しました。11歳から18歳までの男女が学び、ほとんどが寮生です。オープンデイがありましたので訪問してみました。さすがに歴史が刻み込まれた古い校舎に、新たらしい息吹が吹き込まれ素晴らしい教育が行われています。街は世界大会が開催されていますので、発祥の地をアピールしていました。エリス君がプレーをした芝生が今でも青々と美しく整備されています。

1828年から42年まで校長を勤めたトーマス・アーノルドThomas Arnold先生がイギリスの学校制度の規範となるように学校を変えたことでも有名で、「トム・ブラウンの生活」The life of Tom Brownには彼の教育原則が書かれています。昔、白黒のビデオで見たことがあります。歴史の長い学校ですので、第二次世界大戦直前の首相であるネヴィル・チェンバレンNeville Chamberlainや不思議の国のアリスの作者であるルイル・キャロルLewis Carolなどが学んでいます。来年夏には、ラグビー校が日本遠征を予定していますので、日本の高校生との対戦が楽しみです。我が家の息子も大学までラグビーに夢中になっていました。ついに、練習中に頬骨が折れて諦めました。高校生のとき、1学期には毎週土曜日に対外試合があり、救急車が2台いつも待機していましたので、はらはらしながら観戦しました。もうこれ以上、怪我の心配をしないでよいと思ったときには、親としてほっとしました。

先日、Growing Reedという放送で岡田准一さんと大西一平さんがラグビー対談をしました。大西さんはラグビー協会の広報委員をしていますが、格闘技だと明言しています。その中で大西さんが「ラグビーとは何か。」と尋ねると、伊集院静さんは「与えれたボールを慈しんでいだき、その精神を友に渡していくこと。」と答えたそうです。多くの危険がつきまとうので、息子には早く止めてほしかったラグビーは、これが真髄だったことを改めて認識した次第です。今回のことをきっかけにラグビーに対する情熱を再認識しましたので、次回はこのスポーツの意義を考えながら観戦できるように思います。