英国だより

第62回目-食事のマナー-

先日、読売新聞に柴崎友香さんが「マナー」は境界が曖昧だと書いていました。これは一般的なマナーについてのことでしたが、食事はどうでしょうか。また、ニューズウィークの「日本の和食・世界の和食」と題して「日本人は無形文化遺産登録で大騒ぎをしているが、実際には和食文化を理解していないという深刻な問題に直面している。」と東京大学の西村教授は言っています。食はまさに文化を表し、それにはマナーが付きものです。学園では寮生がいるので、いつも食堂で食べます。誰が決めたわけではないのに、学年別になることが多く、さらに場所もいつも同じです。週3回夕食に日本食が出ますが、時に生徒たちのために日本人のシェフが日本食を作ってくれます。

食堂は箸がでませんので、ナイフ、フークとスプーンを使います。洋食は器を持つことをしませんので、肉でも魚でもきちんとナイフで切って、口に入れます。しかし、日本食は器が小さく、肉は切ってあるものがあるので器を持ち上げて食べます。洋食が一般的になったとはいえ、きちんとナイフとフォークを上手に使って食事をする生徒は、なかなかいるものではありません。かなり以前ですが、ホームステイ先から電話があり、生徒の食事の仕方を注意してほしいというものでした。その場で注意してくれるのが一番なのですが、あまりの習慣の違いに驚き学園に助けを求めたものでした。今では笑い話ですが、そのときにはちょっとした問題となりました。フークとナイフの使い方に慣れないので、フォークで肉をつきさし歯で肉を切り、残りをポトンと皿に落とすのでまるで犬食いとなってしまいました。ホームステイ先の方にとって耐えられないとの話でした。

日本食は今や世界にも知られ、多くの人々が楽しんでいます。ロンドンでも多くのレストランがあります。必ずしも日本人が経営しているわけでもなく、ちょっと微妙な味がする店もありますが、こちらの方たちには人気がありチエーン店が増えています。人々も箸の使い方が上手にはなりましたが、日本人のようにはいきません。それと同じなのかもしれません。昔、留学したときに、ホームステイ先の方が実にみごとにナイフとフォークを使い、最後にソースがなくなるほど皿が綺麗になりとても感心したことがあります。誰にも迷惑をかけないように見えますが、やはり食事のマナーはスマートにありたいものです。それもまた食文化のひとつであり、お互いに気持ちよくいただきたいので自分も振り返りながら、生徒たちに指導をします。