英国だより

第60回目―終戦70年(英国で)―

今年の夏も来年の生徒募集のために、帝京大学本部で説明会を行い、さらに新聞社や塾が主催する説明会に参加しました。来年も一人でも多くの生徒が、学園の良さを知り入学することを期待しています。

今年は終戦70年にあたり、滞在中に日本でもテレビや新聞などで特集が組まれ、ドラマが制作されていました。アンケート調査によれば、年々広島や長崎の原爆を知らない若者が増えていると報告されていました。周辺国とのかかわりの中で、終戦記念日に安部首相がどのように表現するのか注目されました。今を生きている私たちにとって、大戦における日本の歴史をきちんと理解し、国際社会に対して責任を果たしていかなければいけません。福岡で教員をしていたときに、先輩の先生で原爆を体験した方がいました。その先生はとても体験したようには思えないほど、普通の生活を送っているように見えました。もちろんそのように努力していたのだと思います。非常に精力的で情熱をもって生徒に教育をしており、いつも若い自分にとって手本となりました。ある時、平和教育の時間に生徒たちと一緒に話を聞きました。淡々と体験を語る姿に、想像を絶したものを感じずにはいられず、忘れず当時の生徒たちと伝えていこうと強く語ったものでした。

さて、同じ日に戦勝国となった英国は、11時から女王陛下を招待してロンドンの町中にある教会St Martine-in-the-Fields で追悼礼拝が行われました。午後からチャールズ皇太子を招待して、ホースガードの庭で式典Horse Guard Paradeがありました。いづれの場合も無条件降伏した日本とは違う立場で、対日戦勝記念日VJ DAY(Victory over Japan)を祝っていました。犠牲となった人々や家族、親戚の方々に敬意を払う感謝の式典が行われました。BBC放送の番組中、生き残った人からのインタビューで、3年半がいかに過酷な捕虜生活であったかを述べていました。また、原爆の話もあり第二次世界戦争の終わりになったとも発言していました。テレビで式典を見ながら、日本人としてなんとも辛い感情になりました。林駐英国特命全権大使も午後の式典に招待され、インタビューに応じていました。

その後、英国は戦争に勝ったものの、多大なる犠牲とともに大英帝国そのものが終焉を迎えます。世界における主導権をアメリカに渡し、経済的に援助してもらったほど窮地に追いやられます。日本の戦後は皆が知っているとおりです。8月5日の読売新聞に、「戦争は勝っても負けても失うものは大きい。絶対に戦争を許してはならない。日本には粘りに強く平和的に解決に取り組んでほしい。」と元マレーシア首相マハティール・モハマドさん89歳が語っていました。戦争を知らない世代の私たちはどのように平和を継承していくのかが重要な課題です。2学期が始まり生徒たちと再び考えたいと思います。