英国だより

第58回目-思いがけない出来事-

全日制日本人学校と土曜日の補習授業校が世界の各地にあります。ヨーロッパでは6月になると、高校進学に向けて中学3年生のために説明会が行われ、教員が出かけます。先日、ブラッセル日本人学校に行きました。自宅がユーロスターの駅セント・パンクラスから近いので列車を利用することにしました。ベルギーとの時差が1時間なので、8時発となれば11時には到着。30分前にチェックインすればいいので、値段は時により必ずしも安いわけではありませんが、飛行機より便利です。

来年の生徒募集に向けて学園紹介をし、さらに少し英国史の話をしました。その後、ユーロスターが発車する南駅に戻りました。カレーで労働者がストライキをし、午後からすべて列車はキャンセルになりましたが、そのニュースを全く知りませんでした。係員も連絡が徹底していなかったようで、私はすでにフランスを出国し、イギリスの入国手続をしてロビーで待っていました。すると、案外所には多くの人々が集まり、列車から降りてくる人がいるので係員に尋ねると、本日は帰宅出来ないことが判明しました。パスポートに押されている印をまず取り消し、さらに払い戻しをして次の日のチケットを手に入れるために並びました。

明確な案内もなく、詳細もわからないまま周囲の人々と話をして待っていました。払い戻しを希望しない人々は、早々に次の手段を考え列から離れました。また、すぐにネットで取り直した人もいました。事務所の外ではさらに長い列が出来ていました。途中で本日はもう払い戻しをしないので、ネットで購入するように担当者が言ったのでさらに混乱。本部からの指令が徹底されず、案内する人が多くいても、発券をしている人はたったの2名でした。3時間以上待っても、埒があかないため次の行動を考えて列を離れました。

まずはホテル探し。しかし、街の中はすべて予約で一杯になり、市内を離れて宿泊するか、列車でロッテルダムかアムステルダムまで移動をして飛行機を利用するかのどちらかになりました。時はすでに6時半。知らない街で1泊するのであればと思い、飛行場へ行きました。24時間オープンの飛行場はそのまま滞在することが出来るし、あるいは飛行機の便を予約できるかもしれないと思いました。とにかく値段が高くても本日中に英国に帰宅できればと思い探すと、ブリストル行きの飛行機9時10分発がありました。ブラッセルエアBrussels Airlinesは40席ほどの小型機で、荷物は自分で飛行場から飛行機まで運び、最後に係員が貨物室に入れるといった具合です。これは30分遅れで出発しました。

その後、ブリストル飛行場から駅までタクシーで移動しました。10時35分発ブリストル駅Bristol Temple Meadsの列車はパディントン駅Paddingtonに0時38分着の予定。なんとかこぎつけて5分前に乗車。定刻通りの表示を見てほっと安心するのはまだ早く、今度は車内で担当者が来ないので待つようにアナウンスがありました。A key person has not turned up! つまり運転手が現れないのですからそれから40分待ち。思わず宿泊かと思いましたが、11時20分すぎにようやく発車しました。途中、線路の点検や工事のために走ったり止まったりして終着駅についたのは1時半を過ぎていました。なんと長い1日だったことでしょう。このように運の悪い日を英語で ‘ Today is not my day!’ と言いますが、まさにその表現がぴったりの日でした。

ブラッセルの街は駅であれ、案内所であれ実に英語を上手に話していました。ホームで待っている人でさえも、英語で答えてくれました。国の事情があるにしても素晴らしいものです。日本で求めている英語教育とはこのようなものかもしれないとさえ思いました。さらに、列車ではロンドンに働きに来ている移民たちの会話。自分たちの国がいかに大変な状況かを語りながら、イギリスが良い国だと語っていました。次の日のニュースには、違法な移民たちがストライキをきっかけにドーバーに入国していると話題になり、再びストライキを決行していました。私にとっては初めての体験でしたが、交通機関が予定通りに動かないことはよくあることだそうで、皆は何とか知恵を働かせて切り抜けます。今回の件は、時間と費用がかかりましたが、感じたことや考えたことが多々あり勉強になりました。次回はもっと上手に危機管理を行い対処することが出来そうですが、さすがに疲れてその日は休暇をもらいました。