英国だより

第56回目―総選挙の結果―

英国では5年ぶりに総選挙が行われ、予想に反して圧倒的に保守党が議席を獲得し勝利しました。選挙日は木曜日と決まっているので、5月7日朝7時から夜10時まで各会場5万か所で実施されました。当日、各党の代表が投票する姿がテレビに映し出されていました。場所は小学校や教会はもちろんのこと、パブの中庭、キャラバンサイト、ボクシング・ジムという場所もありました。

3月下旬から解禁となった選挙活動ですが、今回は以前のように保守党か労働党といった二大政党の間で決まることはなく、いづれにしても連立内閣になるだろうと予想され、最後まで見通しがつかないといった具合でした。ネット、戸別訪問、チラシ、会場での演説等を通して国民は支持政党を決定します。生徒たちは日本のようにほとんど看板も見ないので、新聞やテレビでも見ない限り選挙をやっているのかわからないようでした。

ニュースでは、注目の5政党(保守党、労働党、自由民主党、スコットランド国民党、英国独立党)の政策(財政、医療、欧州連合、年金・福祉、税金等)を比較していました。テレビの公開討論のときにはさらにウェールズ民族党や緑の党の代表7名が演説をしていました。毎朝見るBBC放送では、赤いソファをいろいろな場所に持参して、アナウンサーが街をゆく人々に質問をしていました。党首たちが原稿も持たずに演説する姿は迫力と説得力があり、いつも感心しました。あれはきっと教育の力なのだろうと思います。内容を明確にし、それを表現する力を養いたいものです。

職場ではそれぞれの立場で各政党を応援していました。住んでいる場所は保守党が強いので、投票に行っても無駄だとして行かないという友人もいました。私が住んでいるロンドンの地域は労働党が強い地盤です。選挙の結果もロンドンの中心地は労働党が独占し、郊外は保守党、スコットランドはスコットランド国民党が圧勝しました。日本は二重国籍を認めていませんので、私は永住ビザを保持していますが、選挙権はありません。それでも今回の選挙は、今後の私たちの生活に大きな影響を与え、ロンドンや英国の行く末を決めるので、大いに興味・関心がありました。

生徒たちは現代社会や政治・経済の授業で議会政治や仕組みを、英国史では議会発達の歴史を学びますので、授業中に選挙の状況を話しました。人気取りのために都合の良い政策を打ち立てると、結局は国民に跳ね返り多大な借金を負うことになります。国民一人一人が自分たちの生活や国のことを考えならなければいけないというのは有権者の責任です。それを教え考えることが出来るのは、教育の力です。そうなると学校の役割は重要で、教師としてがんばりたいと思わずにはいられません。

読売新聞の欧州版で5月3日に、選挙権年齢が18歳以上の英国では、400校で生徒による「模擬選挙」が行われていると報告していました。同じく日本では憲法記念日でした。英国では1969年から21歳以上から18歳に以上に変更をしています。この年齢のことは日本もそう遠い話ではありません。教師や親としての責任も問われるので、生徒には真剣に考えるようにしたいものです。さて、これからの英国の5年間、かじ取りを任せられた首相はどのように公約を実行していくのか見守りたいと思います。首相自らがI would like to lead our country.(私はこの国を引っ張っていきたい)と選挙前に力強く言っていました。