英国だより

第37回目―ヘンリー8世の船(1545年)ー

今年は3年生の研修旅行の引率をしました。例年どおりにノルマンディー地方からパリへの5泊6日です。中でも今回のハイライトはポーツマス海事博物館にあるヘンリー8世が作らせた船を見学することで、生徒以上に楽しみにしていました。毎年ここで1805年のトラファルガー海戦で勝利した船HMS Victoryを見学しますが、その後ろにある大きな建物ではしばらくの間ローズ号の修理が行われていました。今年5月に新しく建物を建設して、見学が再開されました。

フランスとの100年戦争が終わると、さらに内輪もめとなるバラ戦争が続きます。最後にはリチャード3世とヘンリー7世のボツワースの戦いでようやく終わりを告げます。昨年、レスターの 街の駐車場でリチャード3世の遺骨が発見され話題となりました。復元してみると彼はシェークスピアの劇にあるような人ではなかったと報道され、日本の探偵ドラマの冒頭で使われていました。戦いに勝利したヘンリー7世は、弱く金銭的に豊かでない王様はすぐに殺されると考えて、ひたすら国を豊かにするように努めたと言います。その後、ヘンリー8世は豊かな資金を使って周辺の国々に戦いを挑みました。商船で稼ぐことより砲台を備え、武装商船としてむしろ海軍を補強します。それがまさにメアリー・ローズ号でした。しかし、戦いの最中に火災を起こしバランスを失って、1545年に彼の目の前で海に沈みます。

それを海底から引き揚げるプロジェクトが挙行されたのは1982年のことです。リチャード皇太子が参加をして進められました。最大の計画と言われたように見るものを感動させてくれます。船からあるいは海底から出土した数々の品々は、私たちに人々の生活から人物に至るまで色々な事を語ってくれます。分かりやすくその当時を再現したシュミレーションもあり、かなり以前に見たときよりも技術の進歩を感じました。歴史から学ぶことはもちろんですが、その世界への想像力は限りないものがあります。是非、機会があれば皆さんにもご覧いただきたいと思います。感じることはそれぞれに違っていても、きっと歴史を解明していく過程や人々の努力には感動するはずです。生徒たちも400年前を想像しながら、考察しつつ感動する気持ちを続けてほしいと願っています。