英国だより

第十九回目ーOFSTEDからの報告ー

この言葉は学校に勤める先生であれば、あれね!とちょっと複雑な顔をするに違いありません。正式にはoffices for standard in education(教育水準基準局)と呼ばれ、学校の種類により異なるとはいえ、すべての学校が3年ごとに査察を受けることになっています。そういえば、自宅の近くにある公立学校の壁に「Outstanding again in2012 」と垂れ幕がかかっていました。また、現状の話をすると「大変ですね。」と同情の声。どこの学校でも対策に追われている様子です。

 学園は昨年のはずでしたが、年を越して今年の1月下旬に査察がありました。以前は数週間前に予告をして訪問しましたが、事前に訪問がわかると学校側が問題のある生徒たちを遊園地に出かけさせることもあり、現状が把握出来ないとの判断から、最近では訪問する当日に連絡があります。学園では全員で国会議事堂を中心にロンドンへ見学に出かけていたときで、私は急遽学園に呼び戻されました。2日半にわたる査察があり、生徒や先生を始めすべての関係者と面接がありました。訪問以前には学校生活に全般におけるアンケートが保護者と生徒たちにあり、直接事務所に送りましたのでその結果は、私たちにはわかないようになっています。

 

査察の結果はウエブサイトで見ることが出来ます。学園は5つの項目のうち3つは適切でないとされ、改善命令となりました。ロンドンにある日本の学校ですから、文科省の認定校になっていますが、同時にイギリスの法律にも従う必要があります。正直なところ合格をもらえなかったことに苛立ちと落胆がなかったわけでありません。ひとつずつの項目に関して、改善を始めました。当初は書類がすべて日本語でしたがそれを英文にすることから始まり、さらに内容もイギリスの教育が求めるものに変更していきました。決して、実施していなかったわけではありません。日本のシステムを理解してもらえなかったのは私たちの責任でもあったかもしれませんが、それにしてもちょっと理不尽な気がしないではありません。

 以前はおおまかにやっていれば良かったのに、事細かく指示がありかなり窮屈なものになってきたと感想を述べるイギリス人がいるくらいです。生徒たちの声を聴いていないと指摘され改善策が加わったりもしました。係官はまず生徒第一ですので、体制、教師の姿勢や学園の方針よりも大事です。それに反論ができるわけでもなく、ひたすら書類を残し合格するように努力しました。最悪の場合は学園を閉めることになるという警告もなんだか脅しのようにも思えました。10月18日の締め切りにすべてを完成させ、再度の訪問を待っていると11月7日と8日にありました。当日、同じように生徒を始め先生方や職員にも面接がありようやく合格をいただきました。それでは終わらずに、さらに修正案が加わり指導は続きますので、まるで終わりのない道を歩んでいるような気がしています。

生徒の気持ち、先生の気持ち

私は大学を卒業してすぐに教員になりましたが、当時を考えてみると恥ずかしい気持ちになることがあります。初めは若さと情熱で生徒に体当たりしていました。それがあれば、生徒を動かし変えられると錯覚をしていました。そのようにうまくいくはずもないのに。生徒たちが今まで過ごしてきたものを、変えるほど甘くはないと謙虚に思えるのには、ちょっと時間がかかったように高慢でもありました。生徒の時に、「先生ってわかっていない。」と思い、今後は「生徒ってわかってくれない。」と悩んでいる自分がいます。がんばっていることがわかってもらえないのは、どんなときでもどのような立場でもちょっと悲しいものです。人生は甘くはない、押しつけだって躾の一部だもの、いつか分かってくれると願いながら、信頼できる学園と教師を目指して、努力を続けなくてはと日々模索しています。