英国だより

第十三回 ― 環境を守る。モンサン・ミッシェルから ―

 今年も3年生の研修旅行の引率へ出かけました。昨年も記事を書きましたが、今回は世界遺産であるモン・サン・ミッシェル修道院のことを紹介しましょう。歴史的には
708年に聖堂が建てられたことから始まります。その後、ベネディクト修道院、要塞、さらにフランス革命を経て監獄。今や世界最大の観光地となっています。さて歴史は
ともかく、海に浮かぶ島でしたが、道を作り陸からいつでも行けるようになりました。当時人々がおそらく深刻に考えもしなかった自然破壊が始まります。最近になり、人々
の関心が高まるだけでなく環境破壊が一層進み、ついに打開策が必要になりました。橋をかけて潮の流れを戻すことや全く道を無くしてしまうことなど様々な案があります。
 5月6日に訪問してみると、その前日から始まった新たな試みがなされていました。島に続く道はそのままになっていましたが、両岸にあった駐車場は使用不可となり
ました。その代わり、1キロ手前に大きな駐車場を作り人々は無料のシャトルバスを利用するか徒歩でいくかを選択します。大型バスで移動していた私たちは55ユーロを
支払い駐車し、バス停まで15分ほど歩き、それからシャトルバスで5分ほど乗ると昨年訪問した城壁の前に到着しました。
 昔は遠くからこの教会を見ながら巡礼の旅人達がキリストを思い、自分たちの信仰生活を思いつつ歩いたのでしょう。今では大勢の人々が一気に到着をし、環境を破壊
することになりました。なんだか複雑な思いで、当時の人々のことを考えながら数時間を過ごしました。教会ではちょうどミサが行われていましたので、ちょっと参列してみ
ました。鐘が高らかに鳴り、聖歌や祈りの声が響き思わず祈らずにはいられない心境でした。
 常に環境を考えながら過ごさなくてはいけない昨今です。自然をどのように保ちつつ過ごすかは私たち人類の大きな課題です。皆の利害関係から一番良いと考えた結果
が、モン・サン・ミッシェル修道院の現実だったようです。本当に最善策だったのかは、時間がかかるかもしれません。そのようなことを考える研修旅行でもありました。生徒
たちは美しさに感動していましたが、現実をしっかり見て考察する力を蓄えてほしいと思う旅でもありました。